英国の場合

今日は天皇誕生日ということで、朝のニュースで流れる陛下の談話を聞きながら来年からは祝日でなくなるのか!と思った次第。

お年を召されて分刻みの公務が大変そうで、退位後は少しゆっくりできればよいですね。

公務が大変なのは90歳を超えたエリザベス女王も同じですが、何しろ母親が101歳まで生きたという超強靭な遺伝子の持ち主なので比較できません。

そういう要因があったとしても、高齢で公務を続けられる環境が英国と日本とで何が違うかというと分担できる”家族”の数。

未亡人となったあとも公務をしていたクイーンマザーのように、天皇陛下も完全引退ではなく無理のない範囲で公務をされるのかもしれないですね。

 

 

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生前退位が話題になったときにエリザベス女王も退位を考えているという報道が日本でありましたが、英国民がもし聞いたらフェイクニュースだと取り合わないでしょう。

 

リリベットは デイヴィッド伯父さんのことは大好きだったので母のクイーンマザーのように心底恨んではいないでしょうが、公務より私生活を優先させた伯父さんのせいで父は望んでもいない国王になり、父の死後、後を継ぐことになります。

父であるジョージ6世は、兄の退位のごたごたの苦い経験から、公務を私事より優先させることを決意します。

たぶんエリザベス女王は君主の在り方として父をロールモデルとしていることに加え父と似た性格でもあるので、もしも私事の事情で退位したならば伯父さんと同じことになり、最期まで国王として国と国民に準じた父に顔向けが出来ないと思っているのではないでしょうか。

そして21歳のリリベットは国民に向かって、長かろうと短かろうと私の全人生を捧げることを宣言しますと言い切ってます。

 

I declare before you all that my whole life, whether it be long or short, shall be devoted to your service and the service of our great imperial family to which we all belong. 

 

 あまりに父が早くに亡くなったため家庭を犠牲にすることになりますが…これはフィリップ殿下にも責任の一端はあると思いますけどね。

 

ところで健康上の理由で公務ができなくなることはあり得るので、そういうときは英国では摂政を置くらしいです。

そして減らしているとはいえ年間400件ほどある公務を高齢のエリザベス女王が続けられるのには、支えるスタッフの手厚さもあります。

ドラマを見ていても、国王秘書官が様々な公務において重要な役割を果たしていることが分かります。

時として秘書官は君主に政治的な助言をすることもあります。

日本の場合は君主は政治に関わらないですが、英国の君主は週1回は首相と会い政治的な意見も交わしているのは、立憲君主制といってもずいぶんと違うなぁと驚きました。

「ザ・クラウン」シーズン1第7話にあったように、英国の君主には首相に対し”諮問を受 ける権利(the right to be consulted)”、”激励する権利(the right to encourage)”、”警告を発する権利(the right to warn)”があるということですね。

 

もちろんスケジュールや行事の調整、関係者や政府との連絡調整、スピーチの草稿、叙勲、報道…とあらゆる公務に秘書官は関わります。

宮内庁職員は数年で異動する公務員なので、こういう長年にわたって君主を側で支えるスタッフというのは難しいのではないでしょうか。