トゥルーピング・ザ・カラー

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先週末は、ロンドンで行われたTrooping the colourの生中継を途中からぼーっと見てました。

このTrooping the colourは英国公式観光庁では『軍旗分列行進式』と訳していて、6月には君主の公式誕生日を祝う式典として行われています。

 

 

簡単に言えば軍事パレードなのですが、ホース・ガーズ・パレードで行われるこの式典では兵士は皆、正装で行進します。

熊の毛皮の帽子をかぶった近衛兵とその楽隊が行進する光景は華やかで、特に女王の馬車に付き従うライフガーズの古式ゆかしい正装がきらびやかなのが印象に残りました。

AFPの記事によると今年は1400人以上の兵士と300頭近くの馬、400人に上る音楽隊が参加したそうで、2時間くらいかかる式典は閲兵するほうもされるほうも大変でしょうねぇ。

たくさんの馬が参加してましたが、皆つやつやで手入れが行き届いていてさすがです。

馬に乗りながら演奏する音楽隊もいて、これには感心しました。

先頭にいたドラムを乗せた馬(ドラムホースと呼んでました)は道産子みたいな力仕事用の馬で、何という種類か調べてみたらクライズデール(Clydesdale)だそうです。

ナポレオン戦争の頃は騎馬兵が大活躍だったそうですが、時代が変わり兵器に取って代わられても、これだけのたくさんの馬を軍が所有しているのは驚きです。

飼育や調教はもちろん兵士の乗馬訓練をするのは伝統を維持するためとはいえ大変 。

 

 

もちろんバーティもヨーク公時代から父のTroopin the colourに参加していました。

映像で残っている1934年の式典には父、兄に続き馬に乗って登場。

翌年もジョージ5世は年を感じさせない堂々とした騎乗をしていましたが、半年後に亡くなるとは。

1936年はエドワード8世を祝うための式典となり、兄弟4人の揃い踏み。

そして1937年と1938年は国王となったバーティと弟二人が行っています。

 


Trooping The Colour (1937)

 

当然ですが陸軍のパレードなので陸軍式の挙手(答礼)が見られます。

RAFのクランウェル基地で行われたTroopingのときも同じ答礼をしていました。

陸軍と空軍は手のひらを表に見せる挙手、海軍は軍隊式の敬礼といったら思い浮かべる手のひらを見せない挙手のようです。

 

 

1939年は北米への外遊のため三男のグロスター公が代理を務め、1940年以降は中止。

戦後、正装ではなく軍服で1947年に行われ、この時は父に付き従って娘も馬に乗って参加しています。

フィリップ殿下と結婚するのは半年後なので、その前に経験させたいという親心でしょうか。

エリザベス王女は横坐りで騎乗してますが、あの体勢で長時間の乗馬はきつそう。

 

 

次の年の1948年は嵐でキャンセル、1949年と1950年は国王が出席してますが馬に乗るのは無理だったのか馬車で登場です。

このころになると健康状態が悪化しているのが端からも分かります。

伝統的な儀式を大切にしていたバーティであったので体調が悪くても務めを果たしたかったのでしょうが、痛々しくて見てられないです。

ジョージ6世がトゥルーピング・ザ・カラーに出たのは1950年が最後となります。

翌1951年は、正装したエリザベス王女が父が1947年から乗っていた馬ウィンストンに騎乗し、父の代理を務めました。