狩猟シーズン

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『ザ・クラウン』第一話の日本語タイトルは「鴨狩り」ですが、この第一話を見てジョージ6世の趣味が狩猟だと知りました。

 銃を使った狩猟(シューティング)は12歳のときに初めて体験し、それ以来、生涯を通じて最も熱心に打ち込んでいた趣味でした。
父親の趣味でもあり、親子共々、射撃の腕前はなかなかのものだったようです。

ジョージ5世の切手収集の趣味のほうは、息子たちは誰も引き継がなかったみたいですが。

 

 

イギリスの狩猟について調べてみたところ、一口に狩りと言ってもいくつか種類がありました。

まず有名なのは貴族のキツネ狩りですが、これは“ハンティング”と呼びます。

ハンティングが趣味だったのは、チャーチル内閣で外相と駐米大使だったハリファックス卿。

典型的な貴族のハリファックスなので、いかにもという趣味ですね。

バーティが主にしていたのは“シューティング”と呼ばれる猟銃を使った鳥の猟と、鹿の痕跡を追いかけて銃で仕留める“ストーキング”猟でした。

 


カントリーライフが大好きなバーティは、狩猟のシーズンになるとサンドリンガムスコットランドでキジやライチョウ、カモ、シカの狩猟を楽しんでいました。

『ザ・クラウン』でもそうでしたが、死の直前までサンドリンガムでシューティングをしていて、日課であるその日の成果をノートに書いています。

なんて生真面目な。

 

  

英国には日本の3倍の狩猟人口があり(人口の0.7%なので46万人ほど?)、ハンターは所有者の許可を得て広大な土地で狩りをし地主は使用料を得ます。

また、狩猟に関わる仕事で収入を得る地元の人もいます。

獲物の鳥や魚のことをgameと呼び、その土地のgameを維持管理したり違法な猟の見張りをする仕事をしている人のことをゲームキーパーと呼びます。

スコットランドではゲストを案内をするガイドのことをハイランドギリー(Highland Gillie)と言い、ギリーはゲームキーパーの役もします。

地形や自然や動物の生態をよく知る地元の人がいて手を加えているからこそ、その土地の環境が守られているのでしょうね。

こういう伝統に基づいたイギリスの田舎の風景をずっと守っていってもらいたいものです。

 

 

バーティはギリーや親しい狩猟仲間(義弟のボーズ=ライアンなど)と一緒に何時間もハイランド地方の森や沼地や丘で狩りをすることもありました。

冬場の極寒に、しかも足元はぬかるむ中、沼地や荒野で獲物をひたすら追いかけ待ち伏せするのはアウトドア好きでないと出来ないです。

田舎や自然が好き、賑やかなところが苦手、加えてこの時だけは国王の義務から解放されることから狩猟が性格に合っていたようです。
自然が好きなのは、子供時代に家庭教師の一人からサンドリンガムの動植物について教えてもらっていたからでしょう。

イギリス版ボーイスカウトのデューク・オブ・キャンプでも自然の案内人を買って出ています。

娘のリリベットも父親譲りのカントリーライフ好きで狩猟もしました。

戦争が終わっても服はクーポン制が続いていた頃だったので、狩猟用に着る服がなかったリリベットは父のゴルフ用ズボンを履き、ストーキング(シカ猟)に連れて行ってもらったというエピソードを元家庭教師が書いています。

 

 

大好きな狩猟もジョージ5世が王室財政の引き締めをしたときには自粛しなければならず馬の数も減らしたため、代わりに安上がりなガーデニングに精を出していました。

お気に入りの花はRhododendrons(シャクナゲツツジ)やアザレアです。

 

 

日本では狩猟はあまり馴染みがないですが、ここ数年はイノシシやシカの被害が問題となってきているので狩猟も身近になってます。

市内にはジビエを出すレストランはもちろん自ら猟をするシェフまでいたり。

駆除のため撃ってもすぐ処理をしなければならないのでほとんど廃棄され、流通量が増えないのが課題みたいですが。

イギリスにも何故かニホンジカがいて狩猟の対象となっています。

 

地物シカ肉と野菜のグリル。赤身で柔らかくて美味しかった(´~`) 

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別のお店で地物イノシシ肉のラグーソース

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